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社長1人で会社設立!社会保険の加入義務とその手続き

今回のテーマは会社設立時の社会保険についてです。会社を設立すると、社会保険の加入義務について気にされる経営者様も多いと思います。それまで個人事業主で事業を行ってきたが、売上も上がったので法人化する又は今は少額で会社を作れるので最初から会社を設立する方もいらっしゃるでしょう。今、国民年金や国民健康保険に加入しているので新たに社会保険に入らなくても大丈夫なのか。加入するとすればどのような手続きが必要なのか。一人での会社設立の場合でも社会保険は加入義務があるのか。特に堀江や難波近辺のおしゃれスポットではカフェや美容院などお一人や家族のみで営んでいる方も多いと思います。今回はこのような会社設立したばかり方や設立を検討している方を対象に、税理士の立場から社会保険についてご説明したいと思います。
また、会社設立時の雇用保険及び労災保険についても説明しますので、会社設立時の公的保険関係はこのページを参考にして頂ければ十分だと思います。

そもそも社会保険とは

社会保険は「日本の社会保障制度で、国民の生活を保障するために設けられた公的な保険制度」なのですが、一般的に下記のどちらかで使われます。

広義の社会保険

広義の意味では、会社で加入する厚生年金、健康保険に加え、雇用保険、労災保険を加えたものを総称して社会保険と呼びます。この意味で使われることもありますが、厚生年金及び健康保険と雇用保険、労災保険では管轄が違います。
厚生年金及び健康保険→年金事務所
雇用保険→ハローワーク
労災保険→労働基準監督署
このため、下記に記載する狭義の意味で社会保険と呼ぶことの方が若干多いです。

狭義の社会保険

狭義の意味では、会社で加入する厚生年金及び健康保険を合わせたものを総称して社会保険と呼びます。厚生年金及び健康保険の管轄が年金事務所ですが、年金事務所は数年前までは社会保険事務所と呼ばれていました。このため、厚生年金及び健康保険を合わせて社会保険と呼ぶことが多いです。
なお、このページも狭義の社会保険、すなわち厚生年金と健康保険の両方を指す場合に社会保険と記載しています。

社長一人の会社でも社会保険の加入義務はあるのか

さて、従業員が全くいなくて社長一人の会社でも社会保険に入らなければいけないのか。
結論から申し上げると社長一人であったとしても社会保険(厚生年金及び健康保険)に入らなければいけません。個人事業主の場合は社長一人では加入しなくてもいいのですが、会社の場合、例え社長一人であっても社会保険の適用事務所になります。よって、強制加入ということになります。
例外的に加入しなくてもよい場合は、社長の役員報酬が0円の場合です。最初の一年間は赤字覚悟なので貯金を切り崩して生活します!という方は例外的に加入しなくても大丈夫です。
または、役員報酬額が極めて少ない場合も加入しなくても良いことがあります。例えば、大阪の平成29年9月~社会保険料は40歳未満で役員報酬の額が6万3千未満の場合は厚生年金と健康保険を合わせて本人負担額のみで10,989円(40歳から64歳までの方は11,468円 「協会けんぽ 社会保険料率表」 参照)です。この金額以下の役員報酬であると社会保険の金額を報酬の額面金額から引ききれなくなり、年金事務所に社会保険の加入を断れるケースがあります。
あまり月10,000円などの報酬にすることはないと思いますが、該当する場合は社会保険に加入すべきか管轄の年金事務所に問い合わせた方がいいでしょう。

会社設立時の社会保険の手続きと加入義務

社会保険の手続き

厚生年金及び健康保険(以下、このページでは「社会保険」といいます。)は管轄が年金事務所のため1つの用紙で社会保険の手続きを行うことになります。
会社設立時に提出書類は下記の届出書になります。

① 健康保険・厚生年金保険新規適用届

健康保険・厚生年金保険新規適用届は、初めて社会保険に加入するときに提出する届出書です。会社を設立した場合は、健康保険・厚生年金保険新規適用届の他に登記簿謄本が必要になります。提出する登記簿謄本はコピー不可なので、やや面倒ですが法務局に取りに行って、忘れずに添付しましょう。

提出先:管轄の年金事務所
提出期限:会社設立後又は健康保険・厚生年金の適用事務所になった日から5日以内
提出方法:郵送又は持参

② 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届

健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届は、新たに健康保険及び厚生年金保険に加入すべき従業員を採用した場合に、事業主が提出する届出書です。社長が一人で会社設立した場合は社長の分の健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届を提出し、創業メンバーがいれば創業メンバー分も提出します。

提出先:管轄の年金事務所
提出期限:健康保険及び厚生年金保険に加入の事実があった日から 5日以内
提出方法:郵送又は持参

③ 健康保険被扶養者(異動)届

健康保険被扶養者(異動)届は、社長や創業メンバーに扶養親族がいる場合、事業者が被保険者の方の代わりに提出する届出書です。
会社設立時は社長やその他の創業メンバーに扶養する親族がいらっしゃれば提出しますがいなければ提出は不要です。

提出先:管轄の年金事務所
提出期限:速やかに
提出方法:郵送又は持参

社会保険の加入義務

これらの届出書は年金事務所に提出する届出書で、社長1人の会社でも(扶養する親族がいらっしゃらなければ健康保険被扶養者(異動)届は必要ありません)基本的に全て必要な届出書です。社会保険は社長一人でも加入義務がありますので、届出を忘れないようにしましょう。
近くに管轄の年金事務所があれば、持参して記入漏れをチェックしてもらってもいいかも知れません。用紙は年金事務所で貰えますが、日本年金機構のホームページからダウンロードできます。

会社設立時の雇用保険及び労災保険の手続きと加入義務

雇用保険の手続き

雇用保険の制度は、労働者が失業した場合に、失業手当を雇用促進のために国が失業給付を行う制度です。加入に必要な届出書は下記の2種類です。

① 雇用保険 適用事業所設置届

雇用保険 適用事業所設置届は、会社を設立し従業員を1人でも雇い入れた場合に提出する届出書です。
会社を設立した場合は、雇用保険 適用事業所設置届の他に登記簿謄本が必要になります。

提出先:管轄のハローワーク
提出期限:従業員を雇用した日の翌日から10日以内
提出方法:郵送又は持参

② 雇用保険 被保険者資格取得届

雇用保険 被保険者資格取得届は、従業員を雇入れる都度に提出する届出書です。会社設立時は創業メンバーに従業員がいれば人数分提出します。また、それ以外にも会社設立時には労働者名簿を添付します。会社設立後に雇い入れた場合は、労働者名簿の他に賃金台帳の添付を求められることがありますので、事前に管轄のハローワークに尋ねた方が無難です。
提出先:管轄のハローワーク
提出期限:従業員を雇用した日の翌日から10日以内
提出方法:郵送又は持参

雇用保険の加入義務

雇用保険の加入義務は従業員を雇い入れた場合です。
ただし、法人の役員、役員と同居の親族、65歳以上で新たに雇用される方、1週間で20時間未満のパートなどは雇用保険の加入義務はありません。
会社設立時に同居親族のみで経営を行う場合はこれらの届出は必要ありません。

労災保険の手続き

労災保険の制度は労働者が業務や通勤の際の事故、病気、死亡などの際に国が事業主に代わって給付を行う制度です。
加入に必要な届出書は下記の2種類です。

① 労働保険 保険関係成立届

労働保険 保険関係成立届は、労働保険の適用事業となったときに提出する届出です。
登記簿謄本の他、労働者名簿、賃金台帳などの雇用の成立がわかるものの添付が必要です。

提出先:管轄の労働基準監督署
提出期限:保険関係が成立した日から10日以内
提出方法:郵送又は持参

② 労働保険 概算保険料申告書

労働保険 概算保険料申告書は、労働保険の適用事業となったときに概算保険料を納付するために提出する届出です。
期限は保険関係が成立した日から50日以内で少し長いですが、労働保険 保険関係成立届と同時に提出するのが一般的です。

提出先:管轄の労働基準監督署
提出期限:保険関係が成立した日から50日以内
提出方法:郵送又は持参

労災保険の加入義務

労災保険の加入義務は従業員を雇い入れた場合です。
親族以外の従業員が1人でもいればパート・短期雇用を問わず強制加入です。役員のみや親族のみの会社は加入義務がありません。

会社設立時の各種公的保険まとめ

今回は会社設立時の社会保険や公的保険について記載しました。
役員報酬が0円でない限り社会保険の手続きは必須、従業員を雇い入れていれば雇用保険、労災保険の手続きが必要と覚えておくと十分かと思います。
提出の期限が5日以内などの届出書が多く、期限が短いので忘れないように注意して下さい。

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