さて、今回は税理士らしく節税や税務の話をする…のではなく、儲かる業種や儲からない業種といった経営的観点から開廃業率について解説したいと思います。
私は普段、大阪で税理士をしているため、感覚的にこの業種は今、凄いな、、、この業種は難しいなということは分かるのですが、今回は開廃業率をいう数字から分析していこうと思います。
開業率、廃業率から分かること
開廃業率とは開業率・廃業率のことですが、ここで使うデータの開業は新規設立の法人を指し、廃業は倒産、破産及び自主的に事業を辞めた場合も含みます。よって、単に業績が悪く会社が倒産した企業だけでなく、後継者不足で会社を畳んだ企業も含んだ数字です。
開業率が高いということは新規参入が多いということを意味します。競合が多く工夫が必要です。
廃業率が高いということは倒産や自主的に廃業する会社が多く、それだけ難しいということです。
全体の年度別開業率、廃業率
年 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 |
開業率 | 4.2% | 4.7% | 4.5% | 4.5% | 4.6% | 4.8% | 4.9% | 5.2% | 5.6% | 5.6% | 4.4% | 4.2% |
廃業率 | 4.5% | 4.7% | 4.1% | 3.9% | 3.8% | 4.0% | 3.7% | 3.8% | 3.5% | 3.5% | 3.5% | 3.4% |
このようにリーマンショック時などの不況時は廃業率が開業率と同等程度まで上昇しています。
アベノミクス以降は開業率が方が廃業率より多くなっています。
業種別開業率、廃業率
業種 | 開業率 | 廃業率 |
サービス業 | 4.1% | 3.1% |
医療,福祉 | 3.9% | 2.4% |
運輸業,郵便業 | 3.0% | 2.5% |
卸売業 | 2.4% | 3.4% |
学術研究,専門・技術サービス業 | 4.9% | 3.7% |
教育,学習支援業 | 4.2% | 2.9% |
金融業,保険業 | 3.0% | 3.6% |
建設業 | 4.8% | 3.1% |
鉱業,採石業,砂利採取業 | 0.8% | 3.4% |
宿泊業,飲食サービス業 | 8.7% | 5.9% |
小売業 | 4.1% | 4.4% |
情報通信業 | 6.1% | 4.0% |
生活関連サービス業,娯楽業 | 6.3% | 4.8% |
製造業 | 1.7% | 3.0% |
全産業 | 4.2% | 3.4% |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 4.9% | 3.4% |
不動産業,物品賃貸業 | 5.3% | 3.4% |
複合サービス事業 | 1.1% | 1.0% |
開業率が高い業種
表の通り突出して宿泊業、飲食サービス業が高いです。
次に生活関連サービス業,娯楽業、情報通信業、不動産業,物品賃貸業と続きます。
これら事業は誰でも始めやすい事業が多いため、競争が激しい業界ということが出来ます。
他企業に負けない情熱、差別化、営業力、戦略などが他の業種よりも必要と言えそうです。
廃業率が高い業種
廃業率も宿泊業,飲食サービス業が高いですね。
次に生活関連サービス業,娯楽業、小売業、情報通信業と続きます。
これら事業は競争が激しいか業界自体が衰退傾向などの要因があると考えられます。
開業率も高く廃業率も高い宿泊業,飲食サービス業、生活関連サービス業,娯楽業、情報通信業は競争が激しいと言えるでしょう。
小売業は廃業率だけ高いため、業界全体が衰退傾向ということが読み取れます。
開廃率、廃業率まとめ
開業率・廃業率から業界の動向が読み取ることが出来ます。
起業する際には活かしたいデータですね。
また、自社の業界全体を知る上でも欠かせないデータです。
これは2019のデータのため、コロナ後の開業率・廃業率はどうなっているでしょうか?
注目して行きたいと思います。