今回は倒産防止共済を使った節税の方法を大阪の税理士がご紹介します。
倒産防止共済とは
まず倒産防止共済とはどういった制度なのか見ていきます。
倒産防止共済は、国の機関である中小企業整備基盤機構が運営しています。取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。
無担保・無保証人で掛金の最高10倍まで借入れでき、掛金は損金または必要経費に算入できます。
40ヶ月以上かけると元本の100%以上返ってきます。
役員や個人事業主の節税でおなじみの小規模企業共済と同じ運用元です。
小規模企業共済については「素晴らしい節税商品!小規模企業共済」をご参照下さい。
なぜ倒産防止共済は節税になるのか!?節税効果は?
倒産防止共済は掛金が損金又は必要経費になるため課税を繰延べることが出来ます。
例えば法人の場合、年間120万円掛金を拠出すると120万×30%=36万円
(実際の税率は30%きっちりではありません。実効税率の概算で30%としています。)
税金を繰延べることができます。
ただし、受取時は収益として認識されますので、受取時に税金が課税されます。
小規模企業共済やイデコと違い、受取時に税金が有利になるわけではありません。
あくまで、税金を将来に繰延べる節税ということになります。
よって、受取時は退職金などと相殺することによってさらに繰延べるのが倒産防止共済の一般的な節税方法です。
倒産防止共済は法人は有利だが個人事業主は不利!?
さて、倒産防止共済は個人事業主、法人共に加入することが出来ますが、個人事業主は節税目的だけで加入すれば不利になるケースが多いです。
理由は、法人は単一税率(中小企業は実質的に2段階)に対して、個人事業主は累進課税であるからです。
すなわち、個人事業主は所得が多ければ多いほど税率が上がります。
例えば、課税所得が330万円の個人事業主は掛金12万円掛けると所得税、住民税合わせて20%節税出来ます。これを仮に5年間掛けたとします。→掛金計60万円
受取時も課税所得330万円であった場合、課税所得は330万円+60万円の390万円となり、受取時の60万円に対しては税率が、所得税、住民税合わせて30%になってしまいます。
掛金拠出時は20%節税出来るが、受取時が30%課税されるとなると、むしろ税負担は増えています。
このように、累進課税である個人事業主は倒産防止共済に加入することによって逆に損をしてしまう可能性があるのです。
ですので、法人であればオススメしますが、個人事業主の方は将来の所得などを考えて加入する必要があります。
私の税理士としての経験上、個人事業主の場合、多くの場合は不要ですね。
よって、倒産防止共済は法人に適した節税方法と言えます。
倒産防止共済の加入要件と掛金額の上限
加入要件は以下の通りです。
業種 | 資本金の額または出資の総額 | 常時使用する従業員数 |
製造業、建設業、運輸業その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く。) | 3億円以下 | 900人以下 |
ソフトウェア業または情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
倒産防止共済の掛金の上限
毎月の掛金月額は、5,000円から20万円までの間で5,000円単位で自由に選択出来ます。
ただし掛金のMAXは800万円です。
例えば毎月20万円ですと40ヶ月で上限に達します。
上限に達してもすぐに解約する必要なく貯めておくことが出来ます。
任意の時期に解約出来ます。
生命保険などに比べると使い勝手は良いでしょう。
倒産防止共済まとめ
今回は倒産防止共済による節税をまとめました。
法人に適した制度なので、法人の場合、決算期が近くなれば一度検討する価値はあります。
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