今回は税理士の報酬の相場を解き明かしていきたいと思います。
税理士事務所、会計事務所、税理士法人と名称や組織形態等は異なっても、税理士業務として受ける報酬、すなわち毎月支払う会計、税務顧問の顧問料を比較対象にします。
なお、公認会計士事務所も一部の大手の監査法人以外は税理士業務をメインとしていますので対象とします。
今回は正確に算出した会計、税務顧問の顧問料のデータはありませんので、私見が多分に含まれていますので、参考程度にして頂ければ幸いです。
・・・とは言っても、長年、税理士として実務に携わっているため、実情と大きく乖離はしていません。
税理士報酬の推移
まず、税理士報酬は過去と比較してどのように推移してきたのでしょうか?
結論を申し上げますと貨幣価値が現在と異なるバブル以前を除いてはずっと右肩下がりです。
税理士が閲覧できるある記事には、税理士へのアンケートによる全国の平均の税理士顧問料が記載されています。
データを無断でアップできないのが残念ですが、実は直近のアンケートによると、月の顧問料は3万円を切っています。
では、なぜここまで税理士報酬の相場が下落したのでしょうか?
税理士報酬の下落の原因
平成14年に税理士業界、もっといえば司法書士や社会保険労務士、弁護士等士業全体に大きな改正がありました。
平成14年3月31日以前は税理士は営業者ではないので、広告の禁止がされており、報酬は税理士報酬規定という税理士業務に関して受ける報酬の最高限度額を記載しており、税理士報酬の目安とされていました。
しかし、平成14年4月1日以降は実質広告規制を撤廃し、報酬の自由化が決定しました。
このため、今では当たり前のなったホームページやDMなどで安さを謳い顧問先の獲得に乗り出す税理士が増え、税理士業界にも価格破壊が起こりました。
その結果、法人の月の顧問料は3万円を切り、個人は月2万円を切ろうかいうレベルに下落したのです。
今後の税理士報酬
現在の税理士報酬は下がりきったと言ってよいほど、5年程前から価格の下落は落ち着いてきています。
今後は税理士報酬の大幅な下落は業務がほぼ機械化されない限り考えにくいです。
(っとは言っても現在のシステムのクラウド化がどのような影響を及ぼすかわかりませんが。)
これは、従業員を雇用している会計事務所や税理士法人は毎月顧問先に従業員を訪問させ、月1万円以下という報酬ですと赤字となり事務所経営が成り立たなくなってしまうからです。
よって、今後の税理士報酬はシステムの大幅な進化などの要因がなければやや下落か横ばいだと考えられます。
まとめ
地方が低く、東京が高いという常識は税理士業界も例外ではないため、大阪の税理士報酬の相場は全国の平均かやや高いくらいでしょう。
すなわち、法人で月2万円台後半、個人事業主で月2万円前後でしょう。
もちろん、売上規模や関与度合いにより報酬は変わってきます。
当事務所も該当しますが、今はホームページ上で売上規模による料金を記載している事務所様が多いので比較されると良いでしょう。
特に先代から同じ税理士にお世話になっているなど古くから付き合いがある場合、相場が下がっているにも関わらず、一度も料金の改定がなく高額な場合が結構ありますので、交渉されても良いかも知れません。
ただ、税理士との相性や税理士の実力の高低もあり、料金だけで選ぶのはオススメしません。
平均的な報酬を把握した上で、受けるサービスに対してあまりに高額な報酬の場合は業績にも影響が出ますので、一度比較検討されるのがいいでしょう。