子会社設立のメリット、デメリット

最近初めて会った方にSTOREEって何て読むのですか!?ストリー!?ストーリー!?など聞かれます。せめて振り仮名をいれれば良かったです、(笑)
会社を設立するとき名称も大事ですが、会社を本当に作らなければならないのかというこをを考える必要がまずあります。
今回は子会社の設立について解説したいと思います。
ある一定の規模になると、部署を独立させ子会社を設立するか考えることがあると思います。今回は子会社設立に悩んである方、迷っている方へ向けて子会社設立のメリット、デメリットについて大阪の税理士が解説します。

子会社とは

まず始めに「子会社」とはどういったものかを説明します。
子会社とは、「他の企業の意思決定機関を支配している企業」を指します。
具体的には、議決権のある株式の50%超の株式を親会社に直接又は間接的に所有されている会社です。
例えば、A会社の株をB会社が51%保有していれば、A会社はB会社の意のままになるため、A会社はB会社の子会社ということになります。
なお、議決権のある株式の20%以上~50%以下を保有する場合は、原則、「関連会社」となります。

子会社設立のメリット

事業を親会社に集中させるのか、子会社を設立するのかどちらが会社にとって良いのかわからない方も多いと思われますので、子会社設立の主なメリットについて解説します。

消費税が二年間免税事業者となる

会社を設立した場合、基本的に2年間は免税事業者になります。
子会社の場合も同様に2年間消費税がかかりません。

ただし、親会社の基準期間の課税売上高が5億円を超えている場合は免税事業者にならないので注意しましょう。
消費税について詳しくは「新設法人の消費税の納税義務及び消費税の還付を受けられる場合」をご参照ください。
例えば、A事業部の売上が1,000万円、仕入れ等経費が600万で子会社を作らない場合、1000万-600万=400万に対する消費税等32万が発生しますが、子会社を作った場合、2年間免税事業者であるため、1年に32万円税金が安くなります。
このように、税金面で、非常にメリットになります。

交際費の経費算入限度額が2倍になる

資本金1億円未満の中小企業の場合、交際費は年間800万円までは経費になりますが、800万円を超えると超えた金額は経費になりません。
子会社を設立した場合、子会社はあくまでも、別会社であるため、例え同じフロアで業務を行っていたとしても、2社で合計1,600万円までは交際費の枠があります。
交際費が多い業種などではメリットになります。

親会社で転籍した社員の退職金を計上できる

子会社を設立した場合、親会社の役員や従業員が子会社に移ることがあります。
この場合、形式的にも実質的にも親会社を退職し、子会社に就職するという形になります。
親会社では退職扱いになりますので、退職金を支給することができます。
退職金は経費になりますので、親会社での節税になります。
また、社員の所得税も退職金に係る所得税は安いので社員にとってもメリットです。

軽減税率を利用できる

資本金等の額が1億円以下の中小企業の場合、800万円以下の所得に対しては軽減税率を利用できます。例えば所得が1,000万円の中小企業の法人税は800万以下は15%、800万円を超える200万円は23.4%となります。
子会社設立により、利益が分散され、仮に親会社の所得が700万円、子会社の所得が300万円であれば、親、子会社共に法人税は15%になります。
このように、法人税の面で有利になります。
資本金等の額が1億円超又は資本金等の額が5億円以上である法人等による完全支配関係がある子会社でない限り、軽減税率は適用できますので、ほとんどの会社は適用可能です。

経営のリスクヘッジになる

子会社設立は、経営のリスクヘッジになる場合があります。
例えば、役員の何らかの不祥事などで営業停止になった場合、子会社は営業できるため損失を抑えることができる場合があります。
また、不祥事などで社会的な信頼の失墜は子会社にも影響しますが、少なからずのヘッジにはなります。

後継者が複数いる場合、解決策の1つとなる

例えば、同族会社で社長に子供が2人いる場合、どちらかを社長に決めなければなりません。この場合、一方を専務にした場合、兄弟間で不和が生じ、会社の経営が上手くいかなくなることがあります。
子会社がある場合、一方の後継者を親会社に社長にし、もう一方を子会社の社長にした場合、上手くいくケースもあります。
その次の代になれば、最終的に株の買い取りなどで完全別会社にすれば、後継者問題も解決することがあります。

経営スピードが上がり責任が明確化する

社内で各課などに分けていても、結局は役員の一声で方向性が変わることは良くあります。
このような事情から責任感があまり感じない従業員が増えていくこともあります。
子会社を設立すれば、小さな組織となります。社長は当然その責任を負いますし、社内の従業員も責任感が芽生えることも少なくありません。
地位が人を育てるとも言いますし、少し前に流行ったアメーバ経営のように、子会社を設立すると責任が明確化され、意思決定が早くなるケースが多いです。
目に見えないメリットと言えるでしょう。

子会社設立のデメリット


子会社設立はメリットばかりではありません。当然デメリットもあります。
こちらのデメリットは最低限把握した上で子会社設立を検討しましょう。

経理などの間接費用が増大する

単純に間接経費は上がります。経理などは2社分になりますので、2倍とはいかないまでも経理処理が増えるのは確かです。
他の顧問弁護士費用、顧問税理士費用、顧問社会保険労務士費用なども増えます。
こちらも同じ事務所に依頼すれば2倍まではいかないまでも費用が増加するのは間違いないです。
子会社を設立する前に間接経費が増えるのは間違いないので、設立前に試算をした方がいいでしょう。

損益通算できない

基本的に親会社と子会社の損益の通算はできません。(親会社の100%子会社を除く)
例えば、同じ会社でA部門が1,000万円の利益、B部門で1,000万円の損失であれば、プラスマイナスゼロで法人税は発生しませんが、親会社が1,000万円の赤字、子会社が1,000万円の黒字であった場合、損益を通算することはできず、子会社では1,000万円に対して法人税等が発生します。
損益通算できないことは、子会社設立の場合の税金面での大きなデメリットと言えます。

赤字でも均等割を支払う必要がある

道府県民税、市町村民税という地方に支払う税金のうち、赤字でも支払わなければならない均等割というものがあります。
子会社を設立した場合、親会社でも地方に対する均等割を、子会社でも同様に均等割を支払わなければなりません。
仮に両社とも赤字であっても2重に均等割を支払わなければならず、負担となります。

トータルでの実態が把握しづらい

1つの会社の場合は全体での売上や利益の把握は容易ですが、会社が増えれば増えるほど会計の計上基準などの違いなどにより把握しづらく、トータルの実態が見えてこないことがあります。
また、子会社を設立すると別会社となるため、徐々に文化の違いが生じます。親会社の理念や信念の子会社への浸透が難しくなります。
親会社の1人の社長が全て管理、把握することは会社が増えれば増えるほど難しくなるでしょう。

子会社設立の危険性とその他のメリット

今回は子会社設立のメリット、デメリットについて解説しました。
なお、中小企業の子会社設立の場合は、デメリットだけではなく、知っておかなければならない危険性もあります。
すぐに読める短い内容になっていますので、こちらの記事も是非読んでおいて下さい。「最低限覚えておきたい!中小企業の子会社設立の危険性!!

なお、子会社設立のその他のメリットには例えば、助成金などが受けやすくなったり(「会社設立時に使える補助金・助成金」 参照)
融資が受けやすくなったりします。(さらに融資を受けやすくするには「銀行など金融機関から融資を受けやすくするコツ」参照)
今回は一般的な子会社設立のメリット、デメリットを解説しましたが、実はこれら以外にも解説していない子会社設立のメリットがあります。
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