開業予定者必見!個人事業主が提出すべき6つの届出

事業を開始する場合、何を提出すればよいかわからないことが多いと思います。開業を予定していらっしゃる方で悩まれてる方もいらっしゃることでしょう。
そこで、今回は個人事業主が開業の際に最低限提出すべき6つの届出書について、税理士の視点から記載したいと思います。
個人事業主が開業の際届ける義務があるものは個人事業の開業・廃業等届出書のみですが、他の届出は提出しないと税金が高くなってしまったり、事務が煩雑になってしまうため確実に期限内に提出するようにしましょう。
なお、これらの提出先は全て管轄の税務署ですので間違えないように提出しましょう。

個人事業の開業・廃業等届出書

提出期限:事業開始の日から1ヶ月以内

これは個人事業主が開業した場合又は廃業した場合に必ず提出しないとならない届出書です。実は個人事業者が提出しないとならない、すなわち提出の義務がある届出書は個人事業の開業・廃業等届出書のみです。
これ以外の届出書や申請書は提出をすれば得をする、逆に言えば、提出しなければ損をするものです。

所得税の青色申告承認申請書

提出期限:事業開始の日から2ヶ月以内
(1月1日~1月15日に提出した場合はその年の3月15日まで)

この申請書は提出の義務はありませんが、必ず提出すべき書類です。
今回ご紹介する書類の中で最も重要ですので、個人事業主の方は最低でも開業の際に、個人事業の開業・廃業等届出書と所得税の青色申告承認申請書はセットで提出しましょう。
青色申告承認申請書を提出することで受けることができる最大のメリットは所得から65万控除できるということです。簡単に説明すると税金が安くなります。
具体例で見てみましょう。

●具体例
課税される所得金額が500万円
この場合、青色申告承認申請書を提出していると、
所得税 650,000円×20%=130,000円
住民税 650,000円×10.%=65,000円
計195,000円税金が安くなります。
※わかりやすくするため、簡易に計算しており実際は若干のズレがあります。

所得税は所得が高くなれば税率が大きくなり、所得が低くなれば税率が小さくなる超過累進課税方式を採用しているため、所得により得する金額は大きく異なってきますが、青色申告承認申請書は絶対に提出すべき書類と言えるでしょう。
その他にも青色申告承認申請書を提出することにより下記の特典が受けることができます。
●3年間赤字を繰り越せる
●配偶者等の親族への給与を経費にすることができる
●少額減価償却資産の特例により30万未満の資産を一括で経費にできる。
※少額減価償却資産については「少額減価償却資産による節税」を参考にして下さい。

なお、このようなメリットを享受できる条件として
●複式簿記による記帳をしけければならない
●貸借対照表及び損益計算書を提出しなければならない
という条件があります。
もし、複式簿記や貸借対照表の作成が難しければ単式簿記、損益計算書のみ提出することもできますが、この場合控除の額が65万ではなく、10万円になります。

所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書

提出期限:翌年3月15日まで

この届出は棚卸資産の評価方法と減価償却資産の償却方法の選択ができる届出書が1セットになっています。
届出書を提出しなければ、棚卸資産の評価方法は最終仕入原価法、減価償却資産の償却方法は定額法となります。
棚卸資産の評価方法は先入先出法、総平均法等7種類ありますのでそれぞれの特徴をよく比較し判断しましょう。
減価償却資産の償却方法は定額法と定率法を選べますが、資産の入替が早い方などは、定率法に変更した方が多くの場合有利になりますので減価償却資産の償却方法を定率法にすると良いでしょう。

青色事業専従者給与に関する届出書

提出期限:事業開始の日から2ヶ月以内(1月1日~1月15日に提出した場合はその年の3月15日まで)

青色申告者(上記の所得税の青色申告承認申請書を提出し青色申告を行う者)が事業に従事する親族に支払う給与を必要経費にするための届出書です。
逆に言うとこの届出書を提出しないと親族に支払う給与は経費になりません。
事業開始時は人を雇う余裕もなく、夫婦で始められる方も多いと思います。
そのような個人事業主の中には勘違いしている方も多いですが、青色事業専従者給与に関する届出書を提出して初めて夫婦など親族に支払う給与が経費になりますので、提出もれのないように注意しましょう。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

提出期限:開設した日から1か月以内

事業に従事する親族に給与を支払う場合や他人を雇い給与を支払う場合に提出しなければならない届出書です。
上記、青色事業専従者給与に関する届出書とセットにして提出すると良いでしょう。

源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書

提出期限:期限はないが、原則として、提出した日の翌月に支払う給与等から適用される

従業員等に給与を支払うとき、給与から一定の所得税を差し引いて支給しなければなりません。これを源泉徴収と言いますが、この預かった所得税は原則翌10日までに税務署に納めなければなりません。
基本的に給与は毎月発生しますので、毎月納めなければならず大変面倒です。
しかし、源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書を提出すれば半年に1回(7月10日と1月20日)の納付で済みます。
従業員の数が10人未満という条件がありますが、事業開始時はほとんどの個人事業主が従業員の数が10人未満でしょう。
よって、この申請書を提出しておけば、余計な事務負担が減りますので提出しておくのがよいでしょう。

まとめ

これら6つの届出書・申請書以外にも届出書・申請書は多数ありますが、開業した場合、最低限ご紹介した届出書等を提出すべきでしょう。
事業が軌道に乗るまで時間がかかるものです。不必要な税金や事務負担をなくし、事業に投資、専念できるように忘れずに期限内に提出しましょう。