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大家さん必見!不動産所得の確定申告の方法

今回のテーマは個人の不動産所得の確定申告の方法についてです。個人事業主や会社の役員のみならず、賃貸マンションなどの収益物件を持つサラリーマンの方も増えてきています。東京オリンピックが決まってから東京を中心に不動産価格が上昇しており、大阪もそれに伴い価格が上昇している状況です。大阪も天王寺近辺を中心に路線価も上がっており、不動産投資をされる方は株式投資を凌ぐ勢いで増加しており、収益物件を持つ方が多くなりました。そこで、今回は収益物件である賃貸用不動産を所有した場合の確定申告の方法について、税理士の視点からご説明いたします。

そもそも不動産所得とは何か

そもそも不動産所得とは何かということですが、土地や建物などの不動産の貸付の他に、地上権など不動産の権利や航空機の貸付けなどにより得た所得のことを指します。これは簡単に言えば、不動産の儲けのことです。
税法用語で記載するとすれば、
不動産所得=総収入金額-必要経費
となります。
基本的に税金は儲けに対してかかりますので、不動産も例外ではなく、この不動産所得に対して税金が発生します。
そこで、確定申告が必要になってくるのですが、この不動産所得の確定申告の具体的な計算方法や申告の様式による節税などについて解説したいと思います。

不動産所得の計算方法

不動産所得の計算方法ですが、総収入金額-必要経費で計算されますので、総収入金額に該当する収入、必要経費に該当する経費の主なものをご説明したいと思います。

総収入金額

不動産収入の場合、主たる収入は「家賃」ですが、下記のものの総収入金額に含めて計算します。
○ 更新料、名義書換料
○ 敷金や保証金などで返還されないもの
○ 共益費などの名目で受取る水道光熱費や掃除代

なお、敷金で退去するときに返還を要する部分については収入金額には含めませんので注意しましょう。

必要経費

不動産所得の必要経費ですが、基本的にその不動産収入を得るためにかかった費用の全てを言います。誤解されていらっしゃる方も多いですが、プライベートで使用した領収書や事務所として使用していない自宅の水道光熱費などは必要経費には含まれませんので注意が必要です。
必要経費の主なものは下記のような経費です。
○ 水道光熱費
賃貸不動産の水道光熱費やインターネット使用料を大家が負担する場合は必要経費になります。また、自宅を事務所としている場合は、自宅の電話代、水道光熱費などの一部が必要経費となります。自宅の居住用に使用した部分と事務所用に使用した部分に分け、事務所部分のみが経費となります。
状況にもよりますが、実務的には面積で按分することが多いです。例えば、60㎡の家で20㎡の部屋を事務所として使用した場合には自宅の電話代、水道光熱費などの1/3を必要経費とします。

○ 接待交際費
管理会社や不動産仲介会社の方と行った飲食代やお中元・お歳暮などが該当します。

○ 租税公課
賃貸物件に係る固定資産税、賃貸借契約書の印紙税、賃貸の儲けにより発生する事業税、物件取得の際の不動産取得税、登録免許税など。
特に固定資産税や事業税などは税金ですが経費で落ちますので、忘れないようにしましょう。なお、所得税、住民税といった税金は必要経費にはなりません。この辺りも間違いやすいポイントです。

○ 保険料
火災保険、地震保険など

○ 減価償却費
賃貸不動産など購入した場合、購入金額が一括で必要経費とはならず、建物の種類や築年数によって按分して計算されます。例えば新築の一室鉄筋コンクリートを1,000万円で購入した場合は1,000万円×耐用年数47年(0.22)=22万が毎年の減価償却費となります。

○ 広告宣伝費
入居者募集に使った広告費など。

○ 管理費
管理会社に支払う管理料など。

○ 支払手数料
仲介業者に支払う仲介手数料、税理士に支払う支払手数料など。

○ 修繕費
建物の壁の塗り替え、張り替え、ドア、トイレの補修など。

○ 交通費、通信費、消耗品費
物件や管理会社へ訪問した時の交通費、不動産事業用に使用している携帯電話があれば通話料などの料金、不動産撮影用のデジカメなど。

○ 支払利息
銀行から借り入れをして賃貸不動産などを購入した場合、支払利息は必要経費となります。
元本返済部分は必要経費とはなりませんので、間違わないようにしましょう。

その他、不動産収入のために使用した費用は必要経費になります。過不足なく記載しましたが、網羅するために詳細に記載しましたが、1室や2室などの不動産投資家の必要経費は減価償却費、固定資産税、支払利息のみになることも多いです。

青色申告による確定申告で税金を安く

申告には白色申告という方法と青色申告という2つの申告の方法があります。
では、白色申告と青色申告の違いは何なのか説明したいと思います

白色申告

通常何も届出をしなければ白色申告という申告方法になります。
メリットとして、単式簿記による記帳で良い(会計処理が楽)
デメリットとして、青色申告による所得控除などの各種特典が受けられない。

青色申告

「所得税の青色申告承認申請書」という申請書を税務署に提出すれば青色申告で申告することになります。この申告書の期限は青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、不動産の貸付を行った場合は、その開始の日から2か月以内)です。
なお、所得税の青色申告承認申請書は国税庁のホームページからダウンロードできます。
青色申告を行うメリットとして

○ 所得から10万円又は65万円所得控除することができ、白色申告に比べて税金が安くなる。
○ 3年間損失の繰越ができる
○ 事業専従者給与の必要経費算入
○ 30万円未満の資産を取得した場合、一括で経費にできる。詳しくは「少額減価償却資産による節税」をご覧ください。

デメリットとして
65万円控除の場合は複式簿記により記帳しなければならない(白色申告に比べて会計処理がやや煩雑)

青色申告では所得控除が10万円と65万円控除があるのですが、10万円控除は単式簿記というお小遣帳のような簡易な記録でよく、白色申告と同じであり、デメリットがありません。青色申告をしないと確実に損と言い切っても良いくらいです。

青色申告の10万控除と65万円控除の違い

同じ青色申告でも10万円の所得控除と65万円の所得控除の2種類の控除があります。
当然65万円控除の方が税金は安くなるので、65万円控除の方が得です。
ただし、不動産所得の65万円控除には下記の要件があります。

○ 複式簿記により会計処理を行っていること
○ 不動産所得が事業的規模であること

この2点が要件ですが、複式簿記は正規の簿記の原則で帳簿をつけ貸借対照表を申告書に添付しなければならないため、慣れていなければ単式簿記より少しだけ煩雑です。

もう1点の不動産所得が事業的規模という要件ですが、どのような規模かというと、「社会通念上事業と称するに至る程度の規模」です。
この表現は非常に抽象的な表現ですが、具体的な指針として5棟10室基準というわかりやすい基準があります。
この基準は、アパートやマンションであれば10室以上、家屋の貸付であれば5棟以上で事業的規模と判断できます。また他によく質問を受けるのが駐車場なのですが、月極駐車場の場合、5台で1室分と計算されます。よって、月極駐車場50台分の貸付があれば事業的規模ということになります。なお、これらは個別に判断するのではなく、複合的に判断します。
例えば、マンション6室、家屋1棟、駐車場5台の場合は、家屋に換算すると5棟分になりますので事業的規模となります。
基本的にはこの5棟10室基準を満たしていれば、65万円控除を受けて税務署に否認されることはないでしょう。
しかし、よく様々な方が記載されているブログなどでは5棟10室基準のみがピックアップされ、あたかも5棟10室基準が65万円控除を受けるための絶対的要件のように記載されていますが、65万円の控除を受けるための基準はあくまでも「社会通念上、事業と称するに値するか否か」であり、実質的に判定されます。
例えば、旅館のような大きな家屋であれば5棟10室基準を満たしていなくても、実質的に事業的規模と判断され、65万円控除を受けることができることもあります。
この辺りの判断は税理士に確認した方が良いでしょう。ご自身で申告される場合は、5棟10室基準によって判断される方が無難です。

最後に

確定申告書の提出・納付期限は2/16~3/15日まで、提出先は管轄の税務署です。
不動産所得の確定申告は自身で調べて申告することも可能ですので、時間があり簡単な申告であれば、本日の記事を参考にご自身でチャレンジされても良いでしょう。ただ、事業的規模になれば煩雑性や間違えた時のリスク、節税の観点やから税理士に依頼された方が無難と言えます。

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