今回は副業の始め方と確定申告の方法について税理士が解説していきたいと思います。
昨今は副業を禁止しない企業も増えてきました。
給与だけでは不安で、副業を始められる方も多いと思います。
副業を始める前に
副業を始める前に「所得」について理解する必要があります。
個人は社会人である限り「所得」を得て生活をしています。
この「所得」ですが、税法上10種類に分けられています。
その10種類とは、「事業所得」「給与所得」「不動産所得」「譲渡所得」「配当所得」「退職所得」「利子所得」「山林所得」「一時所得」「雑所得」です。
税理士のような専門家以外は特に覚える必要はありませんが、それぞれの所得で計算のルールが決まっています。
多くの方は「給与所得」のみで生計を成り立たせています。
「給与所得」の計算方法により税金を支払っている(給与から天引き)されているということです。
副業をするということは、その副業の種類によって税金を計算しなければなりません。
副業の場合主に下記のようなものがあると思います。
本業の他に居酒屋などでアルバイトをする場合…「給与所得」
不動産投資をする場合…「不動産所得」
せどり、アフィリエイトなど、その他事業をする場合…「事業所得」「雑所得」
その他、株式投資をされる方は「譲渡所得」「配当所得」に当てはまりますが、株式投資の場合、証券会社で源泉徴収有の特定口座を開設すれば確定申告の必要はないため、特に気にせず始められると良いでしょう。
問題となるのが多くの副業をされる方が当てはまるであろうその他事業をする場合です。
「事業所得」であるのか「雑所得」であるのかを判断する必要があります。
そして「事業所得」である場合、副業を開始後すぐに届出を提出する必要があるのです。
事業所得と雑所得の違い
事業所得とは「反復」「継続」「独立」を満たす所得であり、「雑所得」とは残り9種類の所得以外の所得のことです。
よって、事業所得と雑所得で迷っているのであれば事業所得でなければ雑所得ということになります。
自身の行っている副業の事業が反復して行なっているものか、そして一度や二度など一時のものでなく継続的におこなっているものか、また、誰かの指揮、命令を受けるものや何かの付随のものではなく独立して行っているものか、これら全てを満たし、一般的に事業と呼べると認識出来るのであれば事業所得となります。
税金計算上の違い
事業所得は雑所得に比べ税金の計算上で有利です。
主なメリットは
●青色申告書を提出すれば、65万円の控除を受けることが出来る
●配偶者に給与を出すことが出来る
●赤字の場合は給与所得など他の所得と相殺出来る。
●総所得がマイナスの場合は3年間赤字を繰り越すことも出来ます。
●事業に関係のある間接的な費用を経費に出来る。
このように雑所得にない恩恵を受けることを出来るので、事業所得に該当する場合は事業所得として申告すると税金面で非常に有利です。
副業を開始する場合に税務署に提出する書類
基本的に、本業の他に居酒屋などでアルバイトをする場合の「給与所得」や事業所得に該当しない場合の雑所得、株式投資などの場合は特に提出する書類はありません。
事前に提出する必要がなく、所得が上がれば、翌年の3月15日までに確定進行をするだけです。
副業の内、「事業所得」「不動産所得」の場合は最低限下記の書類は提出必要です。
●個人事業の開業・廃業等届出書
多くの場合、必要で有利な届出は下記です。
青色申告をする場合…●所得税の青色申告承認申請書
配偶者に給与を出す場合…●青色事業専従者給与に関する届出書
届出に関しては詳しくは「開業予定者必見!個人事業主が提出すべき6つの届出」に詳しく解説していますので参考にして下さい。
初めての確定申告
確定申告は翌年の2月16日~3月15日に行います。
方法は自分で行う方法と税理士に依頼して行う方法があります。
現在は会計ソフトなども発達しているので、2箇所給与や売上規模が小さい場合は自分で行うことも出来ます。
自分で行う場合は、会計ソフトを購入し、自身で日々の取引を入力し、ICリーダーを購入しマイナンバーカードがあれば自宅から申告を完了させることが出来ます。
ただし、日本の税法は非常に複雑なため、意図せぬ税金の支払漏れや計算間違いなどで法律違反を犯してしまうリスクがあるので、比較的規模が拡大した場合、税理士に依頼した方が良いでしょう。
目安としては年間の事業収入が1,000万円を超えるなどした場合は消費税も発生するため、税理士に依頼することをおすすめします。
確定申告の基礎について詳しくは「起業、開業される個人事業主の確定申告の基礎知識」を参照して下さい。
副業の始め方と初めての確定申告 まとめ
今回は副業の始め方と初めての確定申告についてまとめました。
副業を始められる方はその副業がどの所得に当たるかを把握し、必要な届出書を提出し、翌年の3月15日までに申告しましょう。
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