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新設法人の消費税の納税義務及び消費税の還付を受けられる場合

今回のテーマは新設法人の消費税の納税義務と消費税の還付についてです。法人の税金と言えば主に法人税等と消費税ですが、今回のその消費税についてご説明させて頂きます。会社を設立した場合は消費税がかからないという話を聞いたことがある経営者の方も多いと思います。
しかし、消費税がかからない、いわゆる免税になるのには条件があります。また、最初から消費税が還付となり戻ってくるケースなどもあります。会社を設立した方や会社設立を考えていらっしゃる方は消費税には思わぬ落とし穴や知っていなければ損をすることがありますので、是非ご一読下さい。
なお、消費税がかかる会社を「課税事業者」かからない会社を「免税事業者」と呼びます。

消費税は原則2年間免税!その要件は!?

新設法人の消費税は、原則設立第1期と第2期の2期間は免税事業者です。これは新設法人は初めから消費税の納税があっては資金繰りが厳しく起業する人が減るからです。
このメリットは是非享受したいのですが免税にならない場合があります。下記の新設法人は免税とならず、設立第1期目から課税事業者となります。

要件1  設立時の資本金が1,000万円以上

設立時の資本金が1,000万円以上の場合、設立第1期から消費税の課税事業者となります。
ですので、よほどの理由がなり限り、設立時の資本金は1,000万円未満に設定した方が良いです。
個人から法人成りする場合などは最初から出資金が多い場合もあり、会社に資金を十分に備えておきたいと思う経営者の方もいらっしゃるでしょう。
例えば、1,500万円の資金があった場合、全てを資本金にすれば設立1期目から課税事業者になってしまいます。この場合は900万円の資金を資本金に、残り600万円の資金を資本準備金という処理にすれば消費税は免税事業者になります。
必ず設立前に消費税の免税事業者になれるか税理士に確認しましょう。
この設立時の資本金の規定を知らなければ思わぬ税金が発生します。

なお、資本金の基準は事業年度開始日で判定しますので、設立時1,000万以上で設立し課税事業者になってしまった場合、期中で減資し資本金が1,000万未満になれば、第2期目は免税事業者になりますので、資本金1,000万で既に設立された方も検討する価値はあります

要件2 特定新規設立法人でない場合

設立時に特定新規設立法人であった場合は消費税が免除されず、消費税の課税事業者となります。まず、特定新規設立法人とは何かということですが、「設立時の資本金が1,000万円未満の新規設立法人のうち、他の者又はその他の者と一定の特殊な関係にある法人が、新規設立法人の事業年度に該当する事業年度の課税売上高が5億円を超えており、その他の者又はその特殊関係法人により新規設立法人の株式の50%超を直接又は間接に保有されている法人」です。
非常にわかりにくいですが、簡単に言えば、売上が5億以上の会社の子会社などが該当します。
例えば、売上5億以上のA株式会社の会社の社長がA株式会社の株を100%持っているとします。A株式会社やその社長が、新たに設立した法人の株の50%超を保有していれば、特定新規設立法人に該当し消費税は免除されません。

この特定新規設立法人は既に会社を持っており、新たに子会社を作る場合か、ベンチャーキャピタルや比較的大きな会社の社長などの株主から出資して頂く場合以外のほとんどの新設法人は該当しないです。

設立2期目の消費税が免除とならない場合


設立1期目の免税事業者とならない場合は資本金1,000万超えと特定新規設立法人の場合でした。これらは起業時に要件に該当しないように設立すれば避けることができます。ただし、2期目は1期目の特定期間の売上高や給与等支払額の要件により課税事業者か免税事業者か判定されます。さて、要件の確認の前に特定期間についてご説明します。

特定期間とは

特定期間とは前期の期首から6ヶ月の期間のことです。
月の中途の日で設立した場合は、その月を含んだ6ヶ月目の末日までになります。
例えば、12月末決算の法人で1月15日に設立した場合、特定期間は1月15日から6月30日までになります。特定期間が7ヶ月未満の場合は特定期間がありません。
では、要件を確認していきます。

設立2期目が免税事業者とならない要件

下記の①、②両方に該当する場合です。

① その特定期間の課税売上高が1,000万円を超えている
② 特定期間の給与等支払額が1,000万円を超えている

一方の要件だけでも満たしていなければ課税事業者となりません。
例えば、特定期間の売上が1,000万円を超えているが、特定期間の給与等支払額が1,000万円未満の場合は免税事業者になります。
設立段階から従業員数が多く、売上も初期から一定程度ある企業が課税事業者に該当することになります。
設立当初からある程度の売上と人件費が予想される場合は、会社設立時に特定期間が7ヶ月未満になるように設立すれば、第2期目も免税事業者となります。

設立第1期目から消費税の還付を受けられる場合

上記のような特殊な場合は除き、基本的には設立第1期目、第2期目は免税事業者ですが、設立第1期目から消費税の還付を受けることができる場合があります。
消費税を計算した結果、支払った消費税が預かった消費税を上回った場合、還付を受けることが出来ますので、参考にして下さい。

まず、消費税の計算方法の計算方法について説明します。
消費税は預かった消費税から支払った消費税を差引いて計算します。
例えば、ある事業年度の課税売上が1,080万円(税込)課税仕入が432万円(税込)であったとします。
この法人の支払う消費税は
預かった消費税1,080万円×8%/108=80万円
支払った消費税432万円×8%/108=32万円となり
支払う消費税は80-32=48万円となります。
消費税が還付される場合は、支払った消費税が預かった消費税を上回った場合であるため、
多くの場合、大きな投資を行ったときに還付されます。
例えば、設立第1期目の課税売上高が1,080万円、第1期目に本社ビルを購入したため、課税仕入れの総額が5,400万円であったとしましょう。
この法人の支払う消費税は
預かった消費税1,080万円×8%/108=80万円
支払った消費税5,400万円×8%/108=400万円
80-400=-320万円となるため、税務署から消費税320万円還付されます。

このように大きな投資や大規模な資産の購入などの場合還付されるケースが多いです。
しかし、設立1期目、2期目は設立時の資本金が1,000万円以上又は特定新規設立法人という特殊な場合を除いて基本的に免税事業者でした。
免税事業者の場合、消費税の納付が免除される代わりに消費税が還付の場合は還付されません。
そこで「課税事業者選択届出書」という届出書を提出します。
この届出書は免税事業者であった期間を課税事業者に変更するというものです。
設立時に課税事業者選択届出書を提出し、課税事業者となることにより還付を受けることが出来ます。
大規模な工事や資産の購入などの場合は、還付を受けることが出来るか検討した方がいいです。また、課税事業者選択届出書は提出するか否かにより、何百万単位で税額が異なることもありますので、提出する前に必ず税理士に相談し、しっかりとシュミレーションを行った上で決定した方が良いです。

なお、課税事業者選択届出書の提出期限は下記になります。
提出期限:新設法人の場合は適用を受けようとする事業年度の末日まで
第2期目以降については適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで

まとめ

消費税の免税事業者に該当しない場合は、第1期目は売上5億以上の子会社又は資本金1,000万以上で設立した場合、第二期目は、創業から半年間の売上が1,000万超かつ給与等支払額が1,000万超の場合と覚えておくとよいです。
さらに、還付を受けられる可能性がある場合は課税事業者選択届出書を提出するということも覚えておきましょう。

ただし、設備投資しても上記のように必ず全額還付できる訳ではありません。一部還付できない場合がありますので、必ず、「設備投資したのに消費税の還付が受けられない危険性!」を目に通しておいて下さい。(比較的短いのですぐ読めます。)
また、消費税を節税したい場合はこちらの記事⇒「簡易課税で税金が安くなる!?消費税の2つの計算方法」も参照して下さい。役に立つとと思います。
設立時はどの業種も資金繰りが大変です。払う必要がない税金は極力減らし、事業活動に資金を回せるようにしたいですね。
個人や自分の会社が免税事業者になれるかどうか、また還付を受けられるかどうかはご相談下さい。

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